腐女子なのでBLゲームの脇役に転生したのに、なぜか主人公もろとも巻き込んだ逆ハー展開が始まって鬱です!
==ゲーム画面==
夕璃「な、菜花ちゃん、おはよう……!」
菜花「? おはよう。あなたって、飽きもせずまだ毎日私を迎えに来るような真似してたの?いい加減、学校くらい一人で行きなさいよね」
夕璃「う、うん……。でも、卒業後は別の高校に通うわけだし、せっかくの幼なじみだから……」
菜花「幼なじみって言ったって、たまたま家が隣同士で同学年だっただけでしょ。悪いけれど、私は研究のレポートがあるから先に行くわよ」
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(…………)
かつてゲーム機越しにその一連の会話を眺めていた前世のあたしは、あまりに冷淡な態度で夕璃に接する幼なじみの彼女を前に、ふつふつと煮え沸るような静かな怒りを覚えたものだった。
(そうだ。菜花はもともとクールというか、他人に対してすごく冷めた物言いをするキャラクターだった気がするわ……)
そのことを思い出した瞬間に、今朝から今までの間に感じた数々の不可解が繋がって、その全てに納得がいった。
そりゃあ、母親も訝しむわけだ。
(さすがにこんなに温度差があるとね……。まるで別人だものね)
「菜花ちゃん、また何か考え込んでる?」
「……!ち、違うの。いや、違わないんだけど、とにかく違うの」
「う、うん、一旦落ち着いて?でもやっぱり変だよ……。いつも研究研究って、正直僕の話なんてあんまり興味なさそうだったのに」
「……研究?」
ひとまず心の中で“夕璃、ごめん”とだけ謝っておき、そのまま何気なく彼の口から二度繰り返されたそのワードに、あたしの意識が傾く。
そういえば、先ほど回想したゲーム内のやり取りでも、菜花自身がそのような言葉を使っていた気がする。
「そうだよ、研究。今すごく忙しいって前言ってたよね。もうすぐずっと追い求めてた理論が完成するとかなんとかって……」
――――!
(きた……!)
今朝から何度か経験した、今の今まで抜け落ちていたあたしの一部だったモノが、勝手にインプットされていくこの感じ。
――そう。あたし、佐々宮菜花は、国家所有の研究機関で働く父と、元は同じ分野に身を置きながら、菜花の出産を機に第一線を退き、現在は主婦の傍らフリーエンジニアとしても働く母の間に生まれた、まごうことなき理系一家のサラブレッドだった。