優しい雨が降る夜は
「ふう、いいお湯だった」
「お帰りなさい」

和室に戻って来た優吾に何気なく声をかけた美月は、次の瞬間真っ赤になって視線を落とす。

浴衣を着て、濡れた髪を無造作に下ろした優吾は、大人の男の色気が溢れ出ていた。

「あ、えっと、ピールをお持ちしますね」

そそくさと立ち上がって冷蔵庫に行く。

よく冷えた缶ビールとグラスを取り出し、おつまみのナッツを小皿に入れてからテーブルに並べた。

「どうぞ」
「ありがとう」

跪坐|《きざ》をして優吾のグラスにピールを注ぐと、今度は優吾がビールを手にした。

「君もどうぞ」
「では、少しだけ」

美月はうつむいたまま、注がれるビールに目をやる。

二人で乾杯すると、赤くなった頬をごまかすようにゴクゴクとビールを飲んだ。

「そんなに一気に飲んで大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「案外イケる口なんだな」

そう言って優吾は、再び美月のグラスにビールを注ぐ。

またしてもゴクゴクと飲み干した美月は、その後見事に酔っ払った。
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