優しい雨が降る夜は
「それでねー、みしょらに言われたんです。あっ、みしょらって言うのは、妹なんですけど」
「存じてますが、美空ちゃんではないかな?」
「そうです。そのみしょらがねー、百人いっちゅの絵札を持って『みてみてー、お姉ちゃんがいっぱい!』って言うの。酷くないですかー?」
優吾は思わず、ぶっと吹き出す。
「お姉ちゃん、生まれる時代を間違えたよねー。平安時代ならモテたのにーって。ええ、そうでしゅとも。令和のわたくしは、まるでモテましぇんとも!」
高らかにそう言うと、美月はグラスをぐいっと傾けた。
「もうその辺にしておけ」
優吾がグラスを取り上げようと手を伸ばすと、美月は「だめ!」と身をよじる。
「あげないもんねーだ!」
「……それ、いつの時代の口ぶり?」
「へーあんでしゅ!」
「なんか平成にそういうギャグがあったような……」
「へーあんでしゅ!ってば」
「はいはい。ほら、そろそろ寝るぞ」
優吾が立ち上がって腕を取ると、美月はキッと鋭い目つきで優吾を見上げた。
「わたくし、女の操は守りましゅ!」
「は?」
ポカンとしてから、優吾は慌てて声を張る。
「当たり前だろ。なにを勘違いしている? 俺はここで寝るから、君は隣の部屋で寝なさい」
「歯磨きするまで寝られまてん!」
「分かったよ! じゃあ、ほら、おいで」
優吾は美月を立たせると、洗面所に連れて行く。
歯ブラシを握らせると、美月は真剣に歯を磨き始めた。
「はい、お水」
コップを受け取り、ガラガラとうがいをする美月にタオルを差し出すと、やってとばかりに顔を上げて見つめてきた。
「幼稚園児かよ、まったく」
ゴシゴシと口元を拭うと、手を引いて洋室に連れて行く。
「ほら、布団かけるぞ」
「はい、おやすみなしゃい」
「おやすみ」
にこっと無邪気に笑う美月に一瞬ドキリとしてから、優吾は明かりを消して部屋を出た。
「存じてますが、美空ちゃんではないかな?」
「そうです。そのみしょらがねー、百人いっちゅの絵札を持って『みてみてー、お姉ちゃんがいっぱい!』って言うの。酷くないですかー?」
優吾は思わず、ぶっと吹き出す。
「お姉ちゃん、生まれる時代を間違えたよねー。平安時代ならモテたのにーって。ええ、そうでしゅとも。令和のわたくしは、まるでモテましぇんとも!」
高らかにそう言うと、美月はグラスをぐいっと傾けた。
「もうその辺にしておけ」
優吾がグラスを取り上げようと手を伸ばすと、美月は「だめ!」と身をよじる。
「あげないもんねーだ!」
「……それ、いつの時代の口ぶり?」
「へーあんでしゅ!」
「なんか平成にそういうギャグがあったような……」
「へーあんでしゅ!ってば」
「はいはい。ほら、そろそろ寝るぞ」
優吾が立ち上がって腕を取ると、美月はキッと鋭い目つきで優吾を見上げた。
「わたくし、女の操は守りましゅ!」
「は?」
ポカンとしてから、優吾は慌てて声を張る。
「当たり前だろ。なにを勘違いしている? 俺はここで寝るから、君は隣の部屋で寝なさい」
「歯磨きするまで寝られまてん!」
「分かったよ! じゃあ、ほら、おいで」
優吾は美月を立たせると、洗面所に連れて行く。
歯ブラシを握らせると、美月は真剣に歯を磨き始めた。
「はい、お水」
コップを受け取り、ガラガラとうがいをする美月にタオルを差し出すと、やってとばかりに顔を上げて見つめてきた。
「幼稚園児かよ、まったく」
ゴシゴシと口元を拭うと、手を引いて洋室に連れて行く。
「ほら、布団かけるぞ」
「はい、おやすみなしゃい」
「おやすみ」
にこっと無邪気に笑う美月に一瞬ドキリとしてから、優吾は明かりを消して部屋を出た。