優しい雨が降る夜は
友利との再会
翌日、美月は久しぶりに出勤した。

「おはようございます、館長」
「風間さん! 大丈夫だった?」
「はい。長い間大変ご迷惑をおかけしました」
「いや。こちらこそ、君をこんな騒動に巻き込んでしまって申し訳なかった。リサイタルの日、私も最後までいて友利さんを見送っていれば、こんなことにはならなかったのに」

すまなそうに詫びる館長に、美月は首を振る。

「いいえ、とんでもない。この件は誰のせいでもないと思います。友利さんも、もちろん館長も、なにも悪くありません」
「ああ、そうだね。風間さん、君もだよ。とにかくひと安心だ。だけど念の為、もうしばらくはカウンター業務は控えた方がいい。主にバックヤードの仕事を頼めるかな?」
「はい、かしこまりました」

美月は、桑原にも挨拶してからバックオフィスに控える。

館内の見回りや清掃などをこなしながら、平穏な日常が戻って来たことを喜んでいた。
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