優しい雨が降る夜は
どれくらいの時間が経ったのだろう。

タオルを冷やし直して額に載せた時、優吾が
苦しそうに胸元に右手を伸ばした。

「雨宮さん、大丈夫ですか?」

美月がその手を両手で握って声をかけると、優吾はゆっくりと目を開ける。

視線を彷徨わせ、美月と目が合うと、かすれた声で呟いた。

「……どうした?」
「えっ?」
「なぜ泣いてる?」

なんのことかと思った次の瞬間、美月の目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

「ごめんなさい、雨宮さん。私のせいで、こんな……」

声を詰まらせながら優吾の右手を握りしめていると、優吾は美月の手をキュッと握り返した。

「泣くな」
「でも、私、いつも雨宮さんに迷惑をかけてばかりで。役に立たないどころか、私のせいで、雨宮さんはこんな……」

すると優吾は反対側の手を伸ばして、美月の頬を手のひらで包む。

親指で美月の涙をそっと拭い、優しく笑いかけた。

「君に会えるなんて、今日は雨なのか?」
「ううん、違います」
「じゃあ、夢か……。夢の中なら言える。ずっと君に、会いたかったって。君のことが、好きだから」

美月はハッとして息を呑んだ。

「夢の中なら、頷いてくれる? 君も俺に、会いたかったって」

溢れる涙をこらえながら、美月は優吾の右手をギュッと握りしめた。

「はい。私もあなたに会いたかったの。あなたのことが、大好きだから」
「良かった……」

嬉しそうに微笑むと、優吾はまた眠りに落ちていく。

「目が覚めても、そばにいて……」
「はい。ずっとずっと、そばにいます」

美月が答えると、優吾は穏やかな笑みを浮かべてスーッと寝入った。

いつの間にか窓の外は、静かな雨が降り始めていた。
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