優しい雨が降る夜は
幸せを上書きしよう
「やあやあ優吾くん。ご機嫌いかがかな?」

翌日出社した優吾に、光太郎が嬉しそうに近づいて来て肩を抱く。

「久しぶりだが、君に言っておきたいことがある。男、立川 光太郎 29歳」
「あ、そう言えばお前の名字、立川だったっけ?」
「おい、話の腰を折るな。俺はついに人生の大きな決断を下したんだ」
「結婚おめでとう」
「ありがとう。って、なんで先に言う!?」
「前置きが長すぎて」
「言わせろよ!」

優吾は改めて光太郎に向き直った。

「おめでとう。良かったな、本当に」
「おう! ありがとう。お先にゴールを決めさせてもらったぜ」
「そうとも限らんぞ。まあ、同点ゴールかな」
「は? どういう意味だ?」

光太郎は虚を突かれたようにポカンとしてから、ハッと目を見開く。

「お前、まさか、つきちゃんと?」
「光太郎。美空ちゃんと結婚したら、美月はお前の義理の姉になるんだぞ? ついでに言うと、美月の夫は義理の兄だ。とくと覚えておくがいい」
「ちょっ、それって、おい、待て、優吾!」

優吾は涼しい顔でデスクに着き、早速仕事を始めた。
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