好きです、先輩。別れてください
「友だちと来たんです。……彼氏なんていないし、今は作る気もないです」


「なんで。前、駅のところで一緒にいたやつと付き合ってるんじゃないの?」


「駅……?」




誰かと私が付き合っているなんて、先輩に思われるのがすごく嫌だ。


心当たりがあるとするのなら、ひとつ。




「猫葉くんのこと、ですか」


「そうだよ。俺が見たのは、その猫葉くんっていうやつといるところ」




嫌だ、違うよ先輩。私が好きだって思ってるのは楓茉先輩だけなのに。


伝えたい、伝えられない、届かない。




「違いますよ。猫葉くんとは……何もないです」


「そっか、勘違いしててごめんね。……ねえ、はんちゃん」


「…なんですか?」




寂しそうに笑わないで。


私は先輩にそんな顔させたいわけじゃなかったの。


先輩のお仕事の負担になりたくなくて、それで別れを告げたのに、そんなに悲しそうな顔されたらさ。


あの時の選択はやっぱり間違ってたんじゃないかって思っちゃうよ。




「そんなに寂しそうな顔、しないでよ」


「……っ」


「俺は……俺はさ。あの日からずっと、絆菜のこと忘れられずにいたんだよ」




先輩、待って。それ以上聞いたらきっと、私は自分を甘やかしてしまう。


断らなきゃいけないと思っても、絶対にそれはできないよ。


私だって忘れられずにいたんだから、楓茉先輩のこと。

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