好きです、先輩。別れてください
「はんちゃん。…俺には絆菜が必要なんだよ」
「先輩、ダメですよ……。私は先輩の負担になっちゃうから、今みたいに」
「あの日も言ったけど、はんちゃんが俺の負担になることなんてないよ。だからっ」
楓茉先輩。やっぱり私はどうしようもなく先輩が好きだよ。
もう一生、他の人を好きになれないんじゃないかって思うくらいには。
人気のない物陰で、水着姿の私と私服姿の楓茉先輩。
ちぐはぐな私たちの間の空気は甘くない、でも苦くもない。
「俺と、もう一度付き合ってください」
「でも、これから先輩はどんどん人気になっていくんですよ……?」
「そうかもしれない。でも、はんちゃんがいないほうがもう俺には無理」
「……っ」
真っ直ぐな視線が、目を合わせられない私を貫く。
遠くから聞こえていた人の声は、もう耳には入らない。
先輩の言葉が、頭の中で反芻される。
もう一度、先輩の隣に立ってもいいの?
あのとき背を向けた私が、そんなことしてもいいの?