好きです、先輩。別れてください
「なんの用すか?」
「好きな子と一緒に歩いてたやつを見つけたから声かけてみただけだよ」
「つまり、手を出すなって釘刺しに来たってことですよね」
「ん〜、棘があるね。……でもまぁそうかも」
少し俯いた星谷先輩の口角は少し上がっていたけど、目は夜空みたいに暗い。
夜空みたいに───どこか怪しく光って、目が離せない。
「俺は結局、はんちゃんを取られたくないんだよ」
「なら、別れるって言われたときに引き止めればよかったんじゃないですか?俺はそこまで詳しく知ってるわけじゃないですけど」
「引き止めたかったよ、俺だって。……でも、あんなに苦しそうな顔されたらっ───」
俺はこの人のことをよく知らないし、別れ話のときに桜庭さんがどんな顔してたかなんてもちろん知らないけど。
この人はこの人なりに、苦しんで葛藤してきたんだろう。
それだけ桜庭さんのことが好きだから。
この人はきっと、自分と別れるほうが桜庭さんにとって幸せだと思ったんだろうな。
「なんか思ったから、俺に声をかけたんですよね」
「……鋭いなぁ、君は。そうだよ、はんちゃんが幸せならそれでいいって思おうとしてがんばってたけど、俺には無理そうだからさ」
「……」
「今度こそ、俺自身の手で絆菜を幸せにしようと思って」
「だから、手を出すなよって?」