記憶の欠片
 参道を歩くと、雪の粒が頭上から静かに落ちてきて、境内の灯篭の光にキラキラと反射している。

 雪は冷たいけれど、光の中で輝く小さな結晶たちは、心の中でくすぶる不安や悲しみを溶かしてくれるみたいだった。

 冬の澄んだ空気の中で、私は自分の胸の奥にある想いをもう一度確認する。

 まだ終わらせたくない――まだ諦めたくない――そう、強く思った。

 慧くんのことを考えると、胸が高鳴って、少し切なくて、でも温かい。

 私は雪の降る参道を、明日香ちゃんの笑顔に励まされながら、ゆっくり歩いた。

 まだ先は見えなくても、この気持ちは確かに私の中にある。

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