記憶の欠片

恋みくじ、引く? 白兎side

 僕と慧は毎年こうして一緒に初詣に来ている。

 境内には色とりどりの屋台の明かりが揺れ、参拝客のざわめきが冬の冷たい空気の中に響く。

 手を合わせる人、賽銭箱にお金を入れる音、鈴の音……。

 そんな日常の一コマが、僕たちにとって毎年の恒例行事になっていた。


「今年も来たねー」


 僕が呟くと、慧は少し照れくさそうに、でも真剣な表情で頷いた。


「うん、来た」


 僕はその声を聞きながら、隣にいる慧の背中を少し見つめる。

 毎年同じ時間を過ごしているけれど、どこか安心できる瞬間。

 僕たちはこの時間を、自然と大切に思っていた。

< 104 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop