記憶の欠片
 一年ぶりに再会した彼は、驚くほどかっこよくなっていた。

 背が伸びて、声も少し低くなって、表情には余裕みたいなものが滲んでいる。

 大人びていて——もう、私の知っている「慧くん」だけじゃない。

 同じ名前なのに、同じ笑い方なのに。

 距離は、こんなにも遠くなってしまったんだと、胸の奥で理解してしまう。

 話しかける勇気も、視線を合わせる勇気もなくて。

 ただ、遠くからその姿を見つめることしかできなくなった。

 あの頃に戻りたい。

 何も疑わず、何も諦めず、隣にいることが当たり前だった時間に。

 そう思えば思うほど、胸が締め付けられて、言葉にならない感情が喉の奥までせり上がってくる。

 気づいたら、涙が止まらなかった。

 声を殺して、ひたすら、ただひたすら泣き続けた。

 もう戻れないと分かっているからこそ、失ったものの大きさだけが、痛いほどはっきりしていた。





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