記憶の欠片
〈記憶の欠片 雨中の絶望〉


 小学三年生の春。

 天気予報は、嵐だった。

 その日、お父さんは仕事に出ていた。


 「すぐ帰るからな」


 そう言って、いつもみたいに頭を撫でてくれた。

 ────それが、最後だった。

 その日の午後、私は怜桜と夏花と、この公園で遊んでいた。


 「おかしー! おかし買ってー!」


 地面に座り込んで、夏花が泣きわめく。


 「もう少し待てって」


 困った顔の怜桜。


 「私が行ってくるよ」


 二人を残して、ひとりで駄菓子屋へ向かった。

 その途中だった。

 空が、急に暗くなった。

 風が吹いて、紙くずが舞って、雨が、叩きつけるみたいに降り出した。


 
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