記憶の欠片
 ────何も知らずに。

 扉の向こうで、誰かが息を殺していることに二人は気づかない。

 教室の前。

 扉の向こう側。

 …わずかに、影が揺れた。

 ひそひそと重なる、息を潜めた気配。

 二つ。

 確かに、二人分。

 愛梨と三湊の会話を、盗み聞きするように。

 教室の前には、そっと身を寄せ合う影が、二つあった。
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