記憶の欠片
───黒瀬先輩、問題出してください!───

教室のざわめき。

チョークの粉の匂い。

窓から差し込む午後の光。

勢いよく手を挙げて、少し得意げに笑う男の子。

前髪が長くて、でも目だけはやけに真剣で。

——はい、稲くん——

私がそう呼ぶと、彼は嬉しそうに背筋を伸ばす。

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