記憶の欠片

原因は

 あれから数週間が経ち、季節はすっかり秋になっていた。

 音楽室の大きな窓から差し込む光は、夏の白さを失って、柔らかなオレンジ色に変わっている。

 校庭の向こう、並木道は赤や金色に染まり、風が吹くたび、葉がはらはらと舞い落ちていく。

 その景色を背に、音楽室には少し甘い木の匂いと、古い楽器の匂いが混ざって漂っていた。

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