記憶の欠片
 ——そして。

 あっという間に時は流れ、クリスマス当日。

 街は色とりどりのイルミネーションに包まれて、吐く息が白く染まるほど冷たい空気。

 浮き立つようなざわめきの中で、私はマフラーをぎゅっと握りしめた。

 今日という日が、ただの楽しい一日で終わるのか。

 それとも——。

 胸の鼓動が、いつもより少しだけ早かった。

 集合場所は街のカラオケ。

 外は朝から雪がしんしんと降り続き、地面も屋根も街路樹も、全てが白く染まっている。

 正にホワイトクリスマス。

 ドアを開けると、すでに明日香ちゃんが来ていて、窓際の席でそわそわと周りを見回していた。

「おはよう!早かったね」と声をかけると、にこっと笑って手を振る明日香ちゃん。

 その直後、ドアが開いて慧くんが到着。

 いつもより少し大きめのコートにマフラーを巻き、頬を赤く染めている。

 私と目が合うと、彼も軽く手を振った。

 その瞬間、胸が少し高鳴るのを感じる。

 クリスマスの飾り付けがされた個室に案内された私たち。

 机の上には小さなツリーと、赤や緑の紙ナプキン。

 外の寒さとは対照的に、温かくてふわっとした空気が漂っている。

 まずはカラオケで歌を歌うことに。

 明日香ちゃんが真っ先にマイクを手に取り、ノリノリでクリスマスソングを歌い始める。

 続いて慧くんと私も順番に歌っていく。

 笑い声が絶えず、あっという間に時間が過ぎる。

 そしていよいよ、プレゼント交換の時間。

 三人でくじを引き、それぞれ相手のプレゼントを渡し合う。

 明日香ちゃんから私に渡された箱を開けると、中には可愛らしいマグカップとチョコレートが入っていた。


「冬にピッタリでしょ?」


 嬉しそうに微笑む明日香ちゃん。

 慧くんからのプレゼントは小さな手袋。


「寒いから。これ、使って」


 照れくさそうに手渡されるその手の温もりに、私の頬も自然と赤くなる。

「ありがとう、大事にするね」と返すと、慧くんも少しだけ笑った。

 三人で笑いながらプレゼントを交換し合い、カラオケの部屋は温かく、幸せな空気に包まれていた。


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