想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 美味しいもの好きの香川チーフは、私達が知らないようなお店もたくさん開拓している。

 チーフに教えてもらったお店なら、まず外れることはない。

「そんなに喜んでもらえると私も連れて行った甲斐があったわ。今日は日帰りで残念だけど、ステイ先でもオフの日でも、また行きましょうね」
「ぜひ!」

 チーフと連れ立って、制服に着替えるために移動している途中で、乗務から戻ったばかりの一行を見かけた。

 ……あ、凱斗さん。

 向こうからやって来る十数名の乗務員の中に、凱斗さんの姿が見える。

 二人で共有しているスケジュールでは、ここ数日はロスアンゼルスへの乗務になっていたはずだ。

 凱斗さんに疲れた様子はなく、とても長時間のフライトをこなしてきたとは思えない。

「あそこにいらっしゃるの、青柳さんのご主人じゃない?」
「香川チーフ、ご存じなんですか?」
「ご一緒したことはないけどね。彼、目立つもの」

 同世代の社員の間だけじゃなく、幅広い年代で凱斗さんは有名らしい。

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