想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 凱斗さんは、わけがわからないという顔をしている。

「なにも、知らなくて。だから、うまくできなかったらごめんなさい……わっ!」

 両腕をベッドについて私を挟むようにしていた凱斗さんが、急に私の胸に倒れ込んできた。

 凱斗さん、重い。髪の毛が素肌に触れてくすぐったい。

「ごめんなさい。こんなの、めんどくさいですよね」
「そういうことじゃない!」

 少し怖い顔をして、凱斗さんが私を見る。

「そういうんじゃないけど、嬉しいのと、申し訳ないのとで頭がパンクしそうだ」

 そっと手を伸ばし、凱斗さんのさらさらの髪に触れる。

「申し訳ないなんて、そんなこと思わないで。だって私は、凱斗さんとこうなれて嬉しい」

 凱斗さんは、一瞬顔をくしゃっとした後、苦しいくらい私を抱きしめた。

「凱斗さん?」

「蒼羽のこと一生大事にする。だから、俺のものになって」

「……はい」


 まるで壊れ物を扱うように、優しく優しく。

 でもそれは最初のうちだけで、凱斗さんについて行くのに必死で。

 最後は今までに感じたことのないほどの幸福感の中で、私は眠りについた。

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