想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 嬉しそうに青柳さんが笑う。

 ちょっと前までクールな表情しか知らなかったのに、近づいてみると青柳さんはよく笑うし、思っていたよりもずっと表情豊かだ。

 こんな青柳さんのことをみんな知らないのかと思うと、ほんの少し優越感みたいなものを感じてしまう。

 それと同時に、みんなが青柳さんのことを誤解しているのを、とても残念に思う。


「話は変わるけど、さっきの電話。ひょっとしてお母さん?」

 信号待ちの停車中に、青柳さんが話題を変えた。

 母だとわかったのなら、青柳さんにも話の内容が聞こえていたってことだ。

「そうです。最近ちょっとうるさくて」

 結婚を急かされていること。勝手にお見合いをセッティングしようとしていること。いずれは地元に帰ってきてほしいと言われていることなどをかいつまんで話す。

 気の毒だとでも思ったのか、青柳さんは話を聞き終わると少しだけ眉をしかめた。

「青柳さんはそういう心配をされることはないですよね」

 あれだけモテるのだ。将来を悲観して親から勝手に見合いを画策されることなんて、絶対にないだろう。

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