想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 最初とは打って変わって、弾んだ声で礼を言うと、チーフは電話を切った。

 なんだか、彼女とは自分の意図しないところで縁があるようだ。出かける用意をして、慌てて部屋を出た。


 蓮見チーフから聞いたカフェで三崎さんを待つこと数分。ようやく現れた彼女は、席に座る俺を見て、明らかに驚いていた。

 チーフの代わりに俺が一緒だってこと、伝わってないのか?

 三崎さんは、席に着かないばかりか、そのままホテルに引き返そうとする。

 そりゃそうだよな。苦手だと公言していた相手と好き好んで一日過ごそうなんて人はいない。
 そう思っているのに。

「俺は蓮見さんから君のことを頼まれているし、ガイド役をしても構わないからここにいるんだが」

 明らかに腰の引けている三崎さんを、なんとか引き留める。


 ……俺、なんでこんなに必死になってるんだ?


 自分で自分に頭を傾げつつ、彼女を帰してしまうと、あとで蓮見さんが怖いからな……と納得する。

 結局押し負けた三崎さんが一緒に行く気になってくれて、心底ホッとした。

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