想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
「おまえのことだから、そう言うだろうと思ってたよ」

 ふいに、お父さまが表情を緩めた。

「医学部には行かないと言ったおまえを突き放した時、きっとすぐに音を上げるだろうと思っていたがな」

「そんなことくらいで諦めたくはなかったからね。蒼羽のことだって、俺は諦めないよ」

 横に座る私の手を取り、グッと握る。瞬時に体温が上がって動けなくなる。

 きっと私、顔まで真っ赤だ。そんな私を見て、お父さまが微笑む。

「蒼羽さん、見てのとおり凱斗は一度言い出したら聞かない頑固なやつだ。あなたも苦労することがあるだろうが、息子をよろしく頼む」
「……はい」

 私はもう胸がいっぱいで、返事を返すので精いっぱいだった。

 凱斗さんとお父さまの確執は、この瞬間、過去のことになったのだと思う。

「病院は大丈夫だから、お前は自分の道を極めなさい。蒼羽さんのこと、決して泣かせるんじゃないぞ」
「……はい」

 凱斗さんは力強く頷いた。
 
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