敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「そのサリトス様が負傷され、不利な状況にあるとのことです」
「何だと……? あいつに限って、そんなはずがあるか」
低く吐き捨てる。
エルフナルドは一瞬言葉を切り、カリルへと視線を向けた。
「お前はどう思う?」
「私も、サリトス様に限ってとは思います。しかし、西の町はこの国にとって重要な拠点です。念には念を入れるべきかと」
「……そうだな」
エルフナルドは短く息を吐いた。
「仕方がない。一度、様子を見に行く」
そう言うと、エルフナルドは馬車の戸を開けた。
そして降りる直前、ふり返ってユリアに声をかけた。
「申し訳ないが、お前はこのままルトアへ向かってくれ。西の状況を確認次第、すぐ合流する。馬を走らせれば、お前がルトアに着く頃には追いつけるはずだ」
「……はい」
「万が一、私が遅れるようなことがあれば、キャロル姫の相手を頼みたい」
「かしこまりました」
ユリアは小さく会釈をした。
「すまない。では頼む。カリル、行くぞ。その他の者は王妃と共にルトアへ向かえ」
命令を終えると、エルフナルドは馬車を降り、カリルと共に西の町へと馬を走らせた。
ユリアはエルフナルドの言葉通り、そのままルトアへ向かい、その日の晩、予定していた宿へと到着した。
「ユリア様。そんなにご心配なさらなくても、きっと大丈夫ですよ」
窓の外をじっと見つめるユリアの様子に気づき、アリシアが声をかけた。
「陛下は元騎士団長ですし、問題が起きても、すぐに解決なさいます」
「……そうよね。きっと、大丈夫よね」
ユリアは自分に言い聞かせるようにそう呟き、アリシアに微笑んだ。
「私は、私のできることをしなくちゃ。明日も早いし、もう休むわ」
ユリアはベッドへ移動し、横になった。
だが、その晩――ユリアが深く眠ることはなかった。
胸の奥に沈んだままの違和感が、これから起こる何かを、静かに告げていた。
「何だと……? あいつに限って、そんなはずがあるか」
低く吐き捨てる。
エルフナルドは一瞬言葉を切り、カリルへと視線を向けた。
「お前はどう思う?」
「私も、サリトス様に限ってとは思います。しかし、西の町はこの国にとって重要な拠点です。念には念を入れるべきかと」
「……そうだな」
エルフナルドは短く息を吐いた。
「仕方がない。一度、様子を見に行く」
そう言うと、エルフナルドは馬車の戸を開けた。
そして降りる直前、ふり返ってユリアに声をかけた。
「申し訳ないが、お前はこのままルトアへ向かってくれ。西の状況を確認次第、すぐ合流する。馬を走らせれば、お前がルトアに着く頃には追いつけるはずだ」
「……はい」
「万が一、私が遅れるようなことがあれば、キャロル姫の相手を頼みたい」
「かしこまりました」
ユリアは小さく会釈をした。
「すまない。では頼む。カリル、行くぞ。その他の者は王妃と共にルトアへ向かえ」
命令を終えると、エルフナルドは馬車を降り、カリルと共に西の町へと馬を走らせた。
ユリアはエルフナルドの言葉通り、そのままルトアへ向かい、その日の晩、予定していた宿へと到着した。
「ユリア様。そんなにご心配なさらなくても、きっと大丈夫ですよ」
窓の外をじっと見つめるユリアの様子に気づき、アリシアが声をかけた。
「陛下は元騎士団長ですし、問題が起きても、すぐに解決なさいます」
「……そうよね。きっと、大丈夫よね」
ユリアは自分に言い聞かせるようにそう呟き、アリシアに微笑んだ。
「私は、私のできることをしなくちゃ。明日も早いし、もう休むわ」
ユリアはベッドへ移動し、横になった。
だが、その晩――ユリアが深く眠ることはなかった。
胸の奥に沈んだままの違和感が、これから起こる何かを、静かに告げていた。