敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった

67 腕の中

 翌朝。
 ユリアが目を覚ますと、視界いっぱいにブロンドの髪が広がっていた。
 驚いて身を起こそうとするが、エルフナルドの腕が、しっかりとユリアを包み込んでいる。
 眠っていたはずなのに、その腕には、無意識とは思えないほどの力がこもっていた。

「……よく眠れたか?」

 深いブルーの瞳が、静かにユリアを見つめていた。

「あ……は、はい。おはようございます……」

 抱きしめられたままだと気付き、ユリアは慌てて視線を逸らす。

「あの……えっと、腕を……」
「ああ、これか。お前は寝相が悪いからな。拘束していた」

 そう言って、あっさりと腕を離す。

「も、申し訳ありません……。陛下、もしかして……眠れませんでしたか……? やっぱり私は長椅子で――」
「長椅子はもういい。毎回運ぶのは面倒だ」

 エルフナルドは小さく笑った。

「……? どういう意味ですか?」
「本当に分かっていなかったのか? 長椅子で眠るお前が、朝、毎回ベッドにいることに疑問はなかったと?」
「……あ!」

 ユリアの反応に、呆れたように手を挙げる。

「お前が長椅子から落ちるたびに起こされては堪らない。二度と長椅子で寝るな。私の安眠のためだ」
「……申し訳ありません」

 恥ずかしさに俯くユリアを見て、エルフナルドは静かに名を呼んだ。

「ユリア」

 顔を上げると、差し出された手。

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