敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「……いえ、べ、別に何も……」

 嘘をついた。

「……何もないわけないだろう。……お前は顔に出るからな。ただ話してくれなければ、何もわからない。思っていることがあるなら話してほしい」

 エルフナルドはユリアの目をじっと見つめそう言った。

「……」

 黙り込むユリア。
 思っていることを伝えるべきか悩んだ。
 女性と楽しそうに話している姿を見ただけで、こんな気持ちになるなんて……。
 そんな事を伝えたら、エルフナルドは嫌がらないだろうか……。

 ユリアの表情が曇る。
 そんなユリアの表情を見て、エルフナルドが口を開いた。

「……無理にとは言わない。お前がもし悩むことがあるなら、力になりたいと思っただけだ。もし、私がお前にそんな表情をさせているなら、改めたいと……。話したいと思ったらで構わない。ただ無理はしないでくれ。お前には、できれば笑っていてほしい」

 エルフナルドはユリアの頬に手を伸ばし、撫でた。
 ユリアはそんなエルフナルドの表情に、胸が締め付けられそうになった。

「……ありがとうございます」

 それ以上、ユリアは何も話せなかった。
 静かな夜のまま、二人は眠りについた。
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