敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
その日の夕食。
いつもはエルフナルドの公務が遅くまであるため、夕食は別々に取る二人だったが、今日は早く切り上げると聞き、ユリアはエルフナルドと共に夕食を取っていた。
鍛錬場の場面を見てしまったユリアは、胸の奥が落ち着かないまま、席でエルフナルドを待っていた。
しばらくすると、エルフナルドが部屋へと入ってきた。
「待たせたな。さあ、いただこうか」
そう言って席に着いたエルフナルドと目が合いそうになり、ユリアは咄嗟に視線を逸らした。
「あ、はい……。ご、ご公務お疲れ様でした……」
少しよそよそしくなったことを不思議に思っているのだろう。
エルフナルドがこちらをじっと見る視線を感じた。
しかし、それに気付かないふりをするようにユリアが口を開いた。
「今日のお魚、とっても美味しそうですね! い、いただきましょう!」
いつもは今日あった出来事を楽しそうに話すユリアだったが、今日は全く言葉が出てこなかった。
その日の食卓は、静かな時間だけが流れていった。
食後のお茶が運ばれてくる頃、痺れを切らしたようにエルフナルドが口を開いた。
「ユリア」
そう静かに名前を呼ばれ、ユリアはドキリとしながらも顔を上げエルフナルドに視線を合わせた。
「……はい」
ユリアはそうポツリと返事をした。
「今日は元気がないが、何かあったのか?」
「……」
——自分のよそよそしい態度がやっぱり変に思われてしまった。
でも……言えない……。