敗戦国の花嫁 ー愛してはいけない人を愛してしまった
「……はい」

 ユリアはおそるおそる顔をあげた。

「この前と逆だな」

 そう言ってエルフナルドは優しくユリアを引き寄せる。

「あの……エルフナルド様? 私、別に他の女性とお話してほしくないとかじゃないんです。ただ自分の気持ちの問題で……」
「ああ。わかっている。私もそうだ」

 エルフナルドはそう言いながらユリアの頭を撫でた。
 そして、ゆっくりといつものように唇を重ねた。
 唇が離れると、何か言いたげな表情でユリアがエルフナルドを見上げた。
 
「どうした?」
「……エルフナルド様にこんなに近付いていいのは、私だけ……ですよね?」

 エルフナルドの瞳が一瞬見開かれた後、ふっと笑った。

「ああ。お前だけだ」
 
 もう一度強く引き寄せられ、唇が重なった。
 優しく、けれど逃がさないように。
 何度も繰り返された口付けの後、二人はお互いに見つめ合い、微笑みあった。
 胸をざわつかせていた想いは、もうどこにもなかった。
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