響け!シャガのクレッシェンド
リズの方を見れば、彼女の顔は真っ青になっている。その目は落ち着きなく動いていた。レオンハルトはジョセフの方を見る。

「申し訳ありません。彼女の体調があまり良くないようなので、事務所に戻ります」

「そうですか。お大事に」

ジョセフはリズの方を見ていた。その目は、まるで獲物を狙い定めている猛獣のようにレオンハルトには見えた。俯くリズの手を引き、レオンハルトは足早にその場を離れる。

「リズ、大丈夫かい?」

レオンハルトはリズの方に目を向ける。リズの体の震えはもう収まっていた。しかし、その目には恐怖がまだ宿っていた。

「レオンハルトさん。私……」

言葉が消える。リズの顔はゆっくりと下を向いていった。レオンハルトは足を止め、リズを見つめた。

「すみません。私、どうしてあの人が怖いのかわからなくて……」

またリズの体が震えていく。レオンハルトは考えるよりも先に体が動いた。リズの体を抱き締める。リズがレオンハルトの腕の中で大きく息を吸った。

「レオンハルトさん……」
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