響け!シャガのクレッシェンド
カナタが手紙をレオンハルトに見せる。便箋には文字は一文字も書かれていない。しかし、手紙を出した人物の名前は書かれている。ジュンイチ・セイネ。カナタの従兄弟の名前だ。

一文字も書いていない手紙には、一輪の花が同封されていた。赤い花だ。花の中心部には、虎やヒョウを思わせる独特な紋様が入っている。派手な花だ。人の目を嫌でも惹き付ける。

「この花は……」

「僕の従兄弟が作り出した花だと思います。従兄弟は植物を生み出す異能力者なんです。でも何の花なのかさっぱりわからなくて」

カナタが説明する。レオンハルトは花をジッと見つめた。この花をレオンハルトは知っている。貴族の家で幼い頃、目にしたことがある。

「カナタ、従兄弟のジュンイチさんがいるのはオト国かな?」

レオンハルトの問いかけにカナタは首を横に振った。唇が言葉を紡ぐ。

「いえ、メレ国です。ジュンイチ兄さんはメレ国に留学してそのまま就職したんです」

「メレ国……」
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