響け!シャガのクレッシェンド
「珍しいですね。……お茶、淹れますね」

「ありがとう。リズやカナタの淹れてくれるお茶はいつもおいしくて疲れが吹き飛ぶ」

二人はそんな会話をしながら探偵事務所の中へと入る。穏やかな時間だ。

そんな二人を、ジョセフ・ファスベンダーが睨むような目で見つめていた。



数日後、レオンハルトが出勤するとまだ事務所には誰も来ていなかった。レオンハルトは荷物を自分のデスクに置いた後、ポストに向かう。ギルベルト・ワーグナーをはじめとする警察から手紙が届いていることがあるためだ。

「手紙はこれだけか……」

ポストに入っていた手紙は一通だけだった。しかも、宛先は「レオンハルト・ジッキンゲン」ではなく事務員の「カナタ・セイネ」となっている。

「カナタ宛てなんて珍しいね」

レオンハルトは呟き、手紙を持って事務所の中へと戻った。



数十分後。外がやけに騒がしいため、レオンハルトは読んでいた本から顔を上げる。そして「この声はあの二人だな」と苦笑した。
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