たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
私は、また、踵を浮かせた。
でも……
また、足は上がらなかった。
行けなかった。
拓真が、湊の前にやってきたから。
湊を持ち上げた。
椅子に座り、膝の上に湊を乗せた。
そして、何やら湊の手を握りながら、耳元で話しかけている。
私は、もう行こうともしてなかった。
ただ、二人を見ていた。
すると、隣の宇佐見さんが、肩を寄せてきた。
その声は、うんと小さかった。
「拓真から、チラッと聞いたんだけど。どうも水が苦手らしくね」
私は思わず、振り向いた。
「えっ……?そんなこと一度も」
「……ははーん。やっぱり、そうだったのね」
その横顔は、また全てを理解したように、何度もうなづいていた。
そして、うなづきが止まる。
宇佐見さんは、ポツリとこう呟いた。
「子供だからって、大人になんでもかんでも、話せるわけじゃないからね」
本当に、その通りだった。
私は、何も知らなかった。
また、湊の背中を見た。
やっぱり丸くなって、明らかにいつもとは違う。
それに、拓真に話しかけられても、ずっと俯いたまま。
拓真は、いつから気づいていたのだろうか……。
私は、気づいて、あげられなかった。
苦しいのは、湊なのに。
なぜか私まで、苦しくなった。
申し訳なさと、情けなさと。
眉間に、皺を寄せた。
「まあ、あんたは気が気じゃなかったでしょうけどね。あの子達にとっては、良い夜になったみたいよ」
また、宇佐見さんを見た。
もう険しい顔をしていない。
湊の背中を見ながら、微笑ましいって感じてる、表情だった。
でも、私はやっぱり……
もう一度、湊の背中を見た。
どうしたって、笑えない。
ただただ、心配でたまらない。
抱きしめてあげたいって、思ってしまう。
でも、今はしちゃダメだ。
わかってる。
そんなの、ただのエゴなんだって。
自分がどうしたいとか、関係ない。
目の前で何があっても、私は踏み込んじゃいけないんだって。
だから、駆け出したい衝動をグッと堪える。
私には言えない。
拓真には言える。
そういうことだから。
(大丈夫かな……湊……)
でも……
また、足は上がらなかった。
行けなかった。
拓真が、湊の前にやってきたから。
湊を持ち上げた。
椅子に座り、膝の上に湊を乗せた。
そして、何やら湊の手を握りながら、耳元で話しかけている。
私は、もう行こうともしてなかった。
ただ、二人を見ていた。
すると、隣の宇佐見さんが、肩を寄せてきた。
その声は、うんと小さかった。
「拓真から、チラッと聞いたんだけど。どうも水が苦手らしくね」
私は思わず、振り向いた。
「えっ……?そんなこと一度も」
「……ははーん。やっぱり、そうだったのね」
その横顔は、また全てを理解したように、何度もうなづいていた。
そして、うなづきが止まる。
宇佐見さんは、ポツリとこう呟いた。
「子供だからって、大人になんでもかんでも、話せるわけじゃないからね」
本当に、その通りだった。
私は、何も知らなかった。
また、湊の背中を見た。
やっぱり丸くなって、明らかにいつもとは違う。
それに、拓真に話しかけられても、ずっと俯いたまま。
拓真は、いつから気づいていたのだろうか……。
私は、気づいて、あげられなかった。
苦しいのは、湊なのに。
なぜか私まで、苦しくなった。
申し訳なさと、情けなさと。
眉間に、皺を寄せた。
「まあ、あんたは気が気じゃなかったでしょうけどね。あの子達にとっては、良い夜になったみたいよ」
また、宇佐見さんを見た。
もう険しい顔をしていない。
湊の背中を見ながら、微笑ましいって感じてる、表情だった。
でも、私はやっぱり……
もう一度、湊の背中を見た。
どうしたって、笑えない。
ただただ、心配でたまらない。
抱きしめてあげたいって、思ってしまう。
でも、今はしちゃダメだ。
わかってる。
そんなの、ただのエゴなんだって。
自分がどうしたいとか、関係ない。
目の前で何があっても、私は踏み込んじゃいけないんだって。
だから、駆け出したい衝動をグッと堪える。
私には言えない。
拓真には言える。
そういうことだから。
(大丈夫かな……湊……)