たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
本当に、その通りだ。

「ねっ!帰ったら、いっぱいハグしなきゃ」

だから、私もうんうんと、うなづいてみせた。

でも、そのとき。

拓真の表情が一変した。
ガバッと起き上がってきた。

「でも、どうする?朝までお前を独り占めして、嫌われでもしたら」

まるで、一大事が起きたみたいに。
顔を近づけて、そう訴えてくる。

私は、目を丸くした。
でも、すぐに笑いを吹き出した。

その湊バカっぷりが、やけに面白かったから。

「はははっ……心配ないって。湊は、心広いんだから」

拓真の顔が遠のく。
また、身体を後ろに倒す。

「……ま、まあ。確かに。言われてみれば、そうだな」

腕を組みながら。
一人で、静かにうなづいてる。

私は、まだ笑いが止まらない。
だから、笑いながらこう聞いた。

「でもさ、拓真。朝まで、いるの?」
「ああ、朝まで。だから、お前もほどほどにしとけよ」

拓真は、机に手を伸ばしながら、そう答える。

ぺこぺこと、缶を潰す。
空になった袋菓子を、かしゃかしゃと、ビニール袋に入れる。

「えっ?何するの?朝まで」
「そんなの、一つしかないだろう」

拓真の手が止まった。
音も止まった。

聞こえるのは、私の笑い声だけ。

拓真は、くるりと振り返る。

「欲しいんだろ?証が」

さらっと、こう言われる。

もう、考えることもなかった。
私は、ニコニコの顔で、うんうんと、頷いていた。

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