たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
拓真の手が伸びてくる。
二つの頬に乗る。

お酒のせい?
暖房のせい?

手も、頬も、あったかい。

私は、笑ってる。
拓真も、笑ってる。

恥ずかしさとか、照れくささより。
その微笑みを、ずっと見ていたいって方が強い。

かと思えば、拓真の顔が、すごいスピードで近づいてくる。

このまま、衝突しちゃうんじゃないかって。
私は、反射的に目をつぶった。

すると、ぴったり閉じた薄い唇が、厚みのある唇に、押し潰された。

それでも、口角は上がったまま。

風圧の強いあったかい風が、肌に吹き付ける。ちょっとだけ、お酒臭い。

最も高いはずの鼻先も、跡形がないくらい潰される。

それでも、ぐーっと、押し込んでくる。
もう、これ以上、深くは無理だ。

すると、拓真の唇は瞬間的に離れた。
わざと、破裂音を出しながら。

「んーーまっ!」

目を、パッと開いた。

目の前に拓真がいる。
すごくニヤニヤしている。

もう無理だ。
嬉しさ半分、恥ずかしさ半分。

私は、俯き笑いながら、眉を顰める。
抵抗感を見せる。

「っん……もー、ちょっと」

でも、拓真の手が引き上げる。

拓真は笑ったまま。
私も笑ったまま。

また、近づいてくる。

ざらりとした唇を、私の唇に擦りつけてくる。

何度も何度も、顔を揺らす。
何度も何度も、唇を揺らす。

「んーーっーー」
「んふふ、もーう……」

私は、満更でもなさそうに笑みをこぼす。

もう、抵抗もしない。
ただ、全てを甘んじて受け入れる。

だって、恥ずかしいけど嬉しいから。

揺れが止まった。
唇が離れた。

すぐ、拓真の額が、ごつーんとおでこに。
私は一瞬、目を瞑った。

でも、またすぐ開いた。
拓真の目を見つけた。

拓真も、私も。
自然と上目遣いになっている。

私の口角は上がりっぱなし。

でも、拓真はもう笑っていない。
切なげに、眉を顰める。

あんなに、笑っていたのに。


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