たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
拓真は、まだ中腰のまま。
何も言わない。
動こうとしない。
これまでなら、分からなかっただろう。
なぜ、拓真がそうなるのか。
でも、私は教えてもらったから。
もう、知っているから。
二人、いるんだもん。
どちらか怖くない方が助ければ、それで良い。
私は、怖くない。
だから、そのまま、ポロッと話した。
「父さん?」
「……ん?どうした」
「私、拓真と結婚するね」
拓真が、パッと顔を見せた。
また、拓真が私を見て。
私が、拓真を見る。
それだけの時間。
そこに、父さんの声が聞こえる。
「結婚って、あの結婚か?」
やっぱり。
父さんは驚いてない。
取り乱してもない。
誰よりも冷静だ。
「うん」
だから、私も拓真を見つめながら。
軽くそう返事する。
でも、どれだけ、見つめていても。
父さんの言葉が返ってこない。
私はくるりと、振り返った。
父さんは、腕を組んで、俯いていた。
初めて宇佐見さんがうちにきたときみたいに。
だから私も、あの時の宇佐見さんみたいに。
すぐさま、バッグの中から、一枚の紙を取り出した。父さんの前へ、スーッと差し出した。
父さんは何も反応しない。
ただ、俯いたまま。
その紙をじっと見つめている。
キッチンからガシャン、ガシャンと物音が聞こえる。ここにあるのは、ただそれだけ。
誰も話さない。
でも、私は、もう言葉に逃げない。
ただ、父さんをじっと見つめる。
そのとき。
「小濱さんたちが……」
隣から拓真の声が。
それは、私も予想外だった。
だから、慌てて、横を向いた。
拓真は、もうしっかり座っていた。
しっかり、前を向いていた。
「小濱さんたちが、いかに今を大事にされているのか、僕もよくわかっています」
時期にも合わず、こめかみから、汗の粒がツーっと流れる。
明らかに緊張している。
でも、言葉を走らせることは、絶対にしない。
ゆっくり、ゆっくり、言葉を伝える。
「鈴子も、よく泣いて言ってくるんです。今を変えたくはないんだって」
私は、ずっと拓真の横顔を見ていた。
でも、拓真が、突然振り向いた。
目が合う。
うんうんと、うなづく。
それだけ。
すぐに、またその目は父さんを見つめる。
もう大丈夫だから。
その頷きが、私にはそう聞こえた。
「だから、むやみに今を奪いたいわけでは、ありません。ただ、僕も、そこに入れて欲しいんです」
私は、今日もやっぱり。
何もしなくてよかった。
ただ、拓真の横顔を見つめていただけ。
何も言わない。
動こうとしない。
これまでなら、分からなかっただろう。
なぜ、拓真がそうなるのか。
でも、私は教えてもらったから。
もう、知っているから。
二人、いるんだもん。
どちらか怖くない方が助ければ、それで良い。
私は、怖くない。
だから、そのまま、ポロッと話した。
「父さん?」
「……ん?どうした」
「私、拓真と結婚するね」
拓真が、パッと顔を見せた。
また、拓真が私を見て。
私が、拓真を見る。
それだけの時間。
そこに、父さんの声が聞こえる。
「結婚って、あの結婚か?」
やっぱり。
父さんは驚いてない。
取り乱してもない。
誰よりも冷静だ。
「うん」
だから、私も拓真を見つめながら。
軽くそう返事する。
でも、どれだけ、見つめていても。
父さんの言葉が返ってこない。
私はくるりと、振り返った。
父さんは、腕を組んで、俯いていた。
初めて宇佐見さんがうちにきたときみたいに。
だから私も、あの時の宇佐見さんみたいに。
すぐさま、バッグの中から、一枚の紙を取り出した。父さんの前へ、スーッと差し出した。
父さんは何も反応しない。
ただ、俯いたまま。
その紙をじっと見つめている。
キッチンからガシャン、ガシャンと物音が聞こえる。ここにあるのは、ただそれだけ。
誰も話さない。
でも、私は、もう言葉に逃げない。
ただ、父さんをじっと見つめる。
そのとき。
「小濱さんたちが……」
隣から拓真の声が。
それは、私も予想外だった。
だから、慌てて、横を向いた。
拓真は、もうしっかり座っていた。
しっかり、前を向いていた。
「小濱さんたちが、いかに今を大事にされているのか、僕もよくわかっています」
時期にも合わず、こめかみから、汗の粒がツーっと流れる。
明らかに緊張している。
でも、言葉を走らせることは、絶対にしない。
ゆっくり、ゆっくり、言葉を伝える。
「鈴子も、よく泣いて言ってくるんです。今を変えたくはないんだって」
私は、ずっと拓真の横顔を見ていた。
でも、拓真が、突然振り向いた。
目が合う。
うんうんと、うなづく。
それだけ。
すぐに、またその目は父さんを見つめる。
もう大丈夫だから。
その頷きが、私にはそう聞こえた。
「だから、むやみに今を奪いたいわけでは、ありません。ただ、僕も、そこに入れて欲しいんです」
私は、今日もやっぱり。
何もしなくてよかった。
ただ、拓真の横顔を見つめていただけ。