たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
もう一度、建物の中に戻る。
やっぱり、ここはあったかい。

白い息を吐きながら。
冷たい風を浴びながら。

ドアを閉める。

でも、宇佐見さんは、私が振り返るのを待たない。いきなり、お叱りの声が飛んでくる。

「あんたたち!別居婚って、本当なの?」
「……えっ?」

私は、パッとドアノブを離す。
慌てて、振り向く。

後ろで、バタンと、ドアが閉まる。
また、あったかいだけの部屋。

宇佐見さんは、腕を組んで、仁王立ち。

やっぱり。
めちゃくちゃ、怒ってる。

すぐさま、拓真を見た。

目が合わない。
項垂れている。

埒が開かないと言わんばかりに、はぁ……と肩を落とす。首をブルブル横に振る。

「拓真!」

でも、またすぐに宇佐見さんに叱られる。
だから、拓真も、渋々顔を上げる。

「私、言ったわよ?ちゃんと鈴子との時間を大事にしなさいって」

拓真は、また深いため息をつく。
また、肩を落とす。

「……だから。夫婦だから。大丈夫なんだって」

少し。いや、かなり。
うんざりしている。

恐らく、私がいない間も、ずっと猛攻撃にあっていたんだろう。

そのとき。

「はははっ……」

耳のそばから、なぜか湊の笑い声が。
パッと、振り返る。

「父ちゃん、ねえさんと一緒なこと言ってる」

湊は、拓真を見て、楽しそうに笑ってる。

すると、なぜか拓真も立ち上がる。
その視線の先には、湊がいる。

歩いてくる。

私の前で止まる。
腕の中の湊を、ひょいと抱き上げる。

湊と見つめ合いながら。
ニコニコと、話し始める。

「そうか?鈴子も、そう言ったのか?」
「うん。ねえー、ねえさん?」

そして、湊と拓真は、私を見る。
二人とも、ニコニコで。

だから、私もにっこり笑ってみせる。
うん、うんと、うなづく。

そのとき。
宇佐見さんが、腕をストンと下ろした。

ポツリと、こう言った。

「あんたたち……本当に愛し合ってるのね」

私は、振り向いた。
でも、宇佐見さんと、目は合わない。

「だから、そうだと言ってるだろ?」

ただ、ボーっと見ているから。
ニコニコと見つめ合う拓真と湊を。
信じられないものを見た、みたいな顔で。

でも、すぐにふふっと、微笑む。

そして、その顔のまま。
ソファに座る父さんへ。

父さんは、ジーッと腕を組んで。
背にもたれたまま。

「良かったわねー、小濱父も。また一人、飲み仲間が増えて」

宇佐見さんは、楽しそうに、そう軽口を叩く。

すると、父さんも振り向く。
笑いながら、軽口を返す。

「ああ。はじめは悲しむだろうがな」

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