たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
「どうした?まだ、何も変わらないんだろ?」

どれだけ強く、食い締めても、食い締めても、あのしっとりと濡れた唇に、がつがつと貪られるドキドキは、もう二度と味わえない。

恋しさは、さらに増すばかりだ。

そして、とうとう、限界が来た。

そんな気持ちも、うっかり言葉に出してしまう。

「……っ、ん……、ねえ、キスしてよ」
「キス?ほんと、好きだな」

すると拓真は、意外とあっさり、私のお願いを受け入れてくれた。

また、下から、上に戻ってくる。

だから私は、ゆっくりと目を開く。
肘と肘をきつく密着させていたつもりだった。

でも、実際は、かなり広い隙間ができていた。

「あはははっ……」

その隙間から、拓真の顔が見える。

「ん?今度は何だ?」

それが嬉しくて、また、つい笑いが込み上げてくる。

「あー、拓真が見えるー」
「はあ?なーに、当たり前のこと言ってんだ」

「おもしろーい」
「ったく……ほら、するんだろ。キス」

「するー」
「じゃあ、手退けろ。してやれないぞ?」

彼はここだ、と教えるように、私の腕をポンポンと叩く。

私は言われた通りに、腕をバタンと下ろした。

それから、拓真は、唇ばかり見るようになった。

「………赤いな」
「赤いの?」

そして、私の唇を、やたら、ふにふにと触ってくる。

「ああ、赤い。」
「へえ」

私は、あのドキドキをもう一度、もう一度と狂ったように、求めていた。

だから、唇も赤くなっているんだろう。

「痛くないか?」
「……うん。へーき、へーき」

拓真は、気が済むまで、唇を触り続けた。

そして、しばらくすると、また、あのキスが帰ってきた。

でも、なにかが、違う。

どこか、遠慮がちに、パクつかれているような?

首を長ーくして待っていた、こちらからすれば、もっと、きて!と思いたくもなる。

でも、のんきに、そんなことを考えていられるのも、わずかな時間だった。

ワンピースの中に、拓真の指が、まだ残っていたから。

また、ヌメッたところを、こねくり始める。

もちろん私の身体には、力という力はない。

でも、軽ーく、腰は浮いてしまう。

私は、呼吸すら自由にできない人間だ。
すべて拓真、次第。
多分、拓真がこうやって、口の中で暴れ回っているうちは、私はこのままだ。

やめて!と、その一言もいえない。
はっきり言葉にしないから、拓真の指も止まるわけがない。

それどころか、指をグッと押し込まれるせいで、もう布ごと、中まで入ってきている。

それで、こねくられたら、そんなの、ただショーツの上から擦るものとは、わけが違う。

それまでは、身体がムズムズするだけだった。

でも、今は、このまま、パーンっと、頭が弾け飛んでしまいそうだ。

ちょっと息が吸えそうなタイミングで、声を出してみる。

「あっ」

「んっ」

こんなの、感じてるみたいじゃないか。
違う。感じてなんか、いない。

ただ、ずっとキスしていたいだけなのに。

背中は、弓なりに反っている。 

でも、大丈夫。
彼の目に、そこは映っていない。
だから何も、言ってこない。

今度こそ、今度こそ。
このまま終わらないで欲しかった。

でも、私は、自分があとわずかで、どうなるか、もう分かっていた。

ダ、ダメだ。
終わりが来る。

「……っ、あ……んーん!」

私は、拓真の広い胸を、拳でボコボコと殴る。

でも拓真は、びくとも反応しない。

結局、私の身体は、勝手に爆発した。

すべてから、解き放たれた。
でも、そんなの、たった一瞬。

舌にしがみつく。
シャツの胸元を引っ張る。
身体に身体を打ちつける。

そりゃあ、キスも終わる。

やっぱり。

拓真はゆっくりと、私の口内から舌を抜き出した。

それから、ワンピースの中にいる、腕の先だけをジーッと、見つめている。

頭は、ボーっとしている。
息は、ハアハア上がる。
でも、それだけじゃない。

今は、お腹の内側まで、恋しがって、きゅん、きゅんと泣いている。

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