結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 くつくつと、喉の奥でアーヴィンが笑う。
「なによ?」
 彼に笑われたのが面白くなく、私はむっと頬を膨らませる。
「いや、そうくるとは思わなかった」
 アーヴィンは私の機嫌を取るかのように腰に手をまわし、ぐっと抱き寄せた。
「ちょっと。近いわよ」
「いいじゃないか。俺は君の愛人なんだから。つまり愛する人だ。愛する者同士は、こういうことをするんだよ」
 アーヴィンは私が逃げられないようにと、がっしり抱きしめつつ、顔を近づけてきた。
「ちょっと……何をするのよ」
 私はアーヴィンをぐいぐいと押し返したが、彼の力が思っていたよりも強く、びくともしない。
「だから、誓いのキスを。俺は君の愛人として、健やかなるときも病めるときも、君を愛し敬い慈しむことを誓うよ?」
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