結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

2.

 火照った身体をしばらくの間冷ましてから、私は一人で広間へと戻った。
 アーヴィンと愛人関係になると決めたわけだが、結局のところ、何をどうしたらいいのかはさっぱりわからない。
 広間ではまだ祝宴が続いているが、この宴は日が替わっても終わらないだろう。王族であれば三日三晩続くとも言われている、めでたい席なのだ。
「イレーヌ、帰るぞ」
 声をかけられ、はっとした私は振り返る。そこには視線を鋭くしたシオドアが立っていた。
「帰るって……別邸にですか?」
「あぁ。一応、僕たちは今日、結婚したわけだからな。主役の二人は初めての夜を過ごすため、パーティーを途中で抜けるのが慣例だ。僕たちもそれに倣う」
「承知しました」
 私を抱くことはないと宣言したシオドアだが、慣例とか周囲の目とかは気にするらしい。
 彼はそれ以上何も言わず、私に向かって腕を突き出してきたため、無言のままその腕を取った。
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