結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 ため息を吐いたシオドアは、テーブルの上に転がっているペンを手にして誓約書にサインをする。彼が名前を書いたのを確認してから、彼の名の隣に私も自分の名前を書いた。イレーヌ・ポーレットと。
「どうぞ。一枚は、旦那様の分です。こちらに書いた約束事、きちんと守りますからご安心ください。もちろん、旦那様もお守りいただけますよね?」
「当たり前だ」
「私の用件は終わりました。あとはごゆっくりお休みください。昨晩はお楽しみになられたのでしょう?」
 私の皮肉を込めた言葉にシオドアは顔をゆがませるものの、それを見て見ぬ振りをして言葉を続ける。
「それから、私の愛人、アーヴィンですけど……旦那様の友人ということにしておいてくださいね。リンダさんは私の友人、アーヴィンは旦那様の友人。だから、旦那様がリンダさんと会うのも、私がアーヴィンと会うのも、何もおかしな話ではありませんよね?」
 少々、強引な言い訳だったかなと思いつつも、シオドアは唇を震わせただけで何も言わなかった。
「お義父様が私とアーヴィンの仲が良いことを利用したいようなので。ご存じでした? アーヴィンに招待状を送ったのは、お義父様だったようですよ?」
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