結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 イレーヌ・ロイル。彼女はシオドアの心を乱す、恐ろしい存在である。さらにイレーヌは、アーヴィンとの距離も縮めたようで、二人で一緒にいることが多い。それは、クラス委員長と副委員長という関係も理由の一つなのかもしれない。
 このクラスから頭一つ分抜きん出た二人は、クラスメートたちからの信頼も厚く、周囲には自然と人が集まっていた。そこから漏れたのがシオドアなのだ。
 アーヴィンと仲良くするように父から言われていたはずなのに、彼に近づくことすらできない。
 イレーヌをもっと知りたいのに、彼女のそばにはアーヴィンが番犬のようにつきまとっている。
 アーヴィンと近づくにはイレーヌが邪魔で、イレーヌに近づくにはアーヴィンが目障りだった。
 さらにシオドアは、試験の結果も彼らにはとうてい及ばず、実力の差を見せつけられていた。
 二学年に進級するときには、成績別でクラス分けをされるのは知っていたが、彼らと同じクラスになりたくなくて、適当な気持ちで試験を受ければ、見事、成績下位クラスのDクラス行きが決まってしまった。
 もちろん父は憤怒したが、それは学園に対してなのかシオドアに対してなのか、怒りの矛先はよくわからなかった。
 ただ、この頃からポーレット公爵家の資金繰りが怪しいという話がちらほら聞こえるようになり、シオドアもそれとなく家令に確かめてみるものの「そんなことはございません」と、一喝される。
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