結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 さらに父は、シオドアをAクラスにするようにと学園に多額の資金を援助したという噂もあったが、その真偽は定かではないし、シオドア自身も知らない話だった。
 父は何を考えているかがよくわからない。
 だからその父が、まさかイレーヌとの婚約を打診してくるとは思ってもいなかった。
「ロイル侯爵を財務大臣に推薦したくてな」
 ロイル侯爵は、二大派閥のどちらにも属していないようなどっちつかずの立場にあるが、その手腕は非常に優秀らしい。娘もあれだけ優等生なのだから、血は争えないのだろう。
「だから、シオドア。イレーヌ・ロイルを我が家に迎え入れたいと思うのだが……その彼女の相手に、おまえなんかどうだろうか?」
 遠回しな言い方であるが、ようは婚姻関係を結びたいという意味だ。
 母親は喜び「まぁ、素敵な話ね」なんて言っていたが、これは父からの命令である。
 シオドアの意見を尊重するかのような話ぶりではあるものの、断ることは許さないという無言の圧力すら感じた。
「はい。父さんが言うように、縁談をお受けしたいと思います」
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