結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 私からすれば、リンダを離れに住まわせている時点で問題しかないと思いつつも、互いの愛人との関係に口を出してはいけない約束だから、その気持ちをぐっと呑み込む。
 だから、そういったこともあって、結局は子爵領へと行く目途がたたない。
 どうしたものかしらと、尖らせた上唇の上に指を当て、策を練る。
「奥様、本日の手紙でございます」
 エマが、手紙を持って執務室へとやってきた。
「ありがとう、そこに置いてくれる?」
「はい」
 返事をしつつもエマはにまにまと笑っている。
「何かあった?」
「ふふふ……王弟殿下からお手紙が届いておりますよ。旦那様宛てですけど」
 アーヴィンは必ずシオドア宛てに手紙を出す。だからって、本当にシオドアに宛てているわけでなく、もちろん私宛てのものである。シオドアへの手紙は、一度、私を経由するという点を利用していた。
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