結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「そろそろ、お腹は空かないか?」
 何があるのかと見て回るのに忙しくて、お腹のことなんて頭になかったのに、声をかけられたとたん、一気にお腹が空いてきた。
「そう言われると……そうね。そういえば、おすすめのレストランを聞いたんだけど……」
「店選びは俺にまかせてくれ」
 後ろを振り向いたアーヴィンはそこで立ち止まり、繋いでいた手を離す。何ごとかと思って様子を見ていると、アーヴィンはマルクスにこそっと耳打ちをしている。
 私に聞かれたくない話なのだろうか。
 マルクスは「しかし……」「責任が……」とアーヴィンに向かって反論しているようだが、「わかりました」と彼の口が動いたのを見逃さなかった。
「では、そういうことで。行くぞ、イラ」
「え? えぇ。ちょっと、どういうこと?」
 いきなり私の手を取って、ずんずんと歩き出すアーヴィン。後ろからエマとマルクスがついてくる様子はない。
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