結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 アーヴィンの手が私の帽子をずらし、勝ったばかりの耳飾りをつけてくれた。
「お嬢さん、似合ってるじゃないか。ほら、そっちのお兄さんはどうするんだい?」
 私を褒めた婦人はすぐにマルクスに向き直る。彼の視線は忙しく動いていたが、髪飾りが並んでいる場所で止まった。それは蝶の模様になっている髪飾りだ。
 マルクスも同じように金を払って髪飾りを手にすれば、エマの髪へとそれをつける。
「まぁ、エマ。素敵よ」
 恥ずかしいのか嬉しいのかわからないけれど、エマはほんのりと頬を紅色に染めてマルクスにお礼を言っていた。
「良い買い物をした」
 アーヴィンが婦人にもう一度声をかけ、その場を後にする。
「町中は賑わっているみたいだな」
「そうね。活気もあって、よいところだと思うわ。何よりも、みんなの表情が明るいのがいいわね」
 耳飾りをつけた耳からぽっぽっと、熱が生まれてくるかのよう。でもそれを意識せずに、私は町の様子を見て、アーヴィンと意見を交わす。
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