結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。

3.

 アーヴィンと手を繋いで二人で町中を歩けば、夢の世界にいるのではと心がふわふわとしてしまう。
「……イラ? 何か気になることでも?」
 彼はそんな私の様子を敏感に察して、笑みを浮かべたまま顔を向けてきた。そうするとまた、胸の奥にチクリと棘が刺さったような微かな痛みが走る。
 こうやってアーヴィンと二人でいる時間が永遠に続けばいいと、願ってしまう自分がいる。今が楽しければ楽しいほど、なおのこと。
「ううん? あなたとこうやって町中を歩けるなんて、夢みたいだなって……」
 私が本音を口にしたとたん、アーヴィンが力強く手を握り直して、歩調を少しだけゆるめた。向こうから忙しなくやってくる人たちをうまくよけながら、どこかに向かって歩き続けるが、そのどこかがどこかは私にはわからない。
 彼の足が向くまま、私もそれについていくだけ。
 しばらく二人でゆっくり歩き続けると、木造の二階建ての建物の前で立ち止まった。その建物からは、賑やかな声と美味しそうなにおいが流れてくる。
「たまには、こういった人が多く集まるような食堂もいいかなと思ってね」
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