結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「イレーヌ、どれがいい?」
 急に本当の名前を呼ばれて、ドキリと鼓動が乱れた。
「私のことをイラと呼ぶのはやめたの?」
「ここに俺たちを知っているような人たちはいないだろう?」
 片目をつむってみせるアーヴィンは調子がいいと思いつつも、私も慣れない偽名を口にするよりは、慣れ親しんだ彼の名を呼びたい。
「相変わらず、あなたって調子がいいのね」
「それは褒め言葉だと思っておくよ」
「褒めてないわよ」
 そんなやりとりも楽しいものだ。
「もう、私、お腹が空いたわ。ここに来たからなおさらね。どれがいいのかわからないから、アーヴィンにまかせるわ」
「イレーヌは昔からそう言う」
「何が?」
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