結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
 違和感と呼べるような何かは、ずっと胸をざわつかせていた。
「実際、イレーヌとシオドアの婚約が決まった前の年に、ポーレット公爵家の利益はがた落ちだった。一時期は国への支払いも滞るかもしれないと言われていたのに、蓋を開けてみたら、そんなことはなかった。あの状態からどうやって持ち直したのかと、一部では話題になっていたくらいだ」
 だからそこでシオドアの婚約によって、ロイル侯爵家との結びつきを強化したいのだろうと思っていた。狙っているのは鉱山による利益。大臣への登用の見返りに共同権利を主張されたら、と父は勘ぐっていたようだが、その心配は杞憂に終わったわけだ。
「だけど、今日ここに来て、その原因をつかみかけたのかもしれない」
 それが違和感としてアーヴィンの心に巣くっているのだろう。
「お待たせしましたぁ」
 女性店員の元気な声で、私たちは弾かれたように姿勢を正した。料理の品を口にしつつ、店員は料理をテーブルの上に並べていき、最後に取り皿を用意してくれた。
 こうやって料理を目の当たりにしたら、私のお腹も刺激され、すぐにでもぐぅと鳴りそう。でも、鳴ったとしてもこれだけにぎやかな店内なら、アーヴィンには聞こえないはず。
< 239 / 266 >

この作品をシェア

pagetop