結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
「美味しそうだな、早速、いただこうか」
「えぇ。だからさっきから言ってるでしょ? 私、お腹がぺこぺこなのよ」
 早速、目の前のつやつやしたお肉に手を出そうとしたのだが、どうやって食べたらいいのかわからない。フォークはあってもナイフはないからだ。
 アーヴィンはそんな私にすぐに気がついたようで「こうやって、食べる」と、肉に手づかみでかぶりつく。彼があまりにも美味しそうに食べるものだから、私も真似をして同じように手づかみで勢いよく食いついた。
「んっ、美味しい!」
「だろ? 値段も良心的で、料理が美味しいっていう評判の食堂だからな」
 指についたたれをペロリと舐めるアーヴィンの姿に、鼓動が少しだけ乱れた。
「だから、行列もできるのね」
 正解! とでも言うかのようにアーヴィンは薄く笑みを浮かべた後、残りの肉にぱくつき、あっという間に骨だけにしてしまう。
「ほら、イレーヌ。こっちも食べてみろよ」
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