御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
由奈は冷たい蕎麦と天ぷらのセットを、渚は単品のおにぎりを卓上のタブレットで注文した。

「それだけで足りるの?」

「最近、食欲がなくて。胸悪い感じが続いてるんだ」

頼んだおにぎりも食べられるかわからない。

不快感を流したくてグラスの水に口をつけると、由奈がハッとしたように聞く。

「もしかして、妊娠してる?」

「うん。さっき産婦人科に行ってわかったところ」

「おめでとう!」

笑顔で祝福されて面食らったが、よく考えると妊娠は喜ばしいことだ。

(そっか。新しい命を授かったことについては、喜んでいいんだ)

由奈のおかげで少しだけ気持ちが前を向いたが、悩みが解決したわけではない。

また眉尻を下げると心配される。

「真面目な渚のことだから、結婚前の妊娠で順番が違うと悩んでた? 結婚は決まっているんだし、別にいいと私は思うけど」

「違うの。妊娠には驚いたけど、悩んでいるのはそれじゃなくて――」

注文した料理が運ばれてきた。

蕎麦をすする由奈を見ながら、ポツポツと彼の母親に結婚を反対された事情を話す。

それを説明するのに宏斗が大企業の御曹司であるのも打ち明けた。

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