御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
(自分の幸せのためにこの子たちを利用してるみたい。宏斗さんの夢も犠牲にしていいなんて、私……最低だ)

信号が青に変わっても歩き出せずにいると、「渚?」と後ろから声をかけられた。

振り向くと、ライトグレーのオフィススーツを着た由奈が立っている。

「すごい偶然だね」

「びっくりした。由奈は仕事中?」

「営業の帰りなんだ。外でお昼を食べてから帰社しようと思って。ねぇ、時間ある? この前誘った時はタイミングが合わなかったけど、今から一緒にランチしない?」

ミディアムボブヘアの由奈は渚よりさらに小柄で、子供の頃から実年齢より低く見られがちだった。

けれども女子の中のリーダー格で人望があり、みんなを引っ張っていってくれる頼もしい存在だ。

明るく懐かしい笑顔を見ていると、ひとりで抱えるには重たい悩みを聞いてほしくなる。

「うん。ランチしたい」

目が潤んできた渚を見て由奈が慌てた。

「なにかあった? とりあえず近くの店に入ろう。そこで聞かせて」

「ありがとう……」

和食のチェーン店を見つけて中に入った。

小上がりの半個室になっているので落ち着いて話せそうだ。

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